ストーリー

お客様は神様です。

お客様は神様です。23

僕は好きな物以外の記憶が無い。そんな状況で早熟だの晩成だの言われたところでそれが当たっているのかどうかはわからない。しかし、サラリーマンは見るからに冴えない。それがもし早熟だとすれば、早くに熟して、早くに腐ったとも思えるが、早熟とはそういう...
お客様は神様です。

お客様は神様です。22

「ところで、ワシは神様じゃ。だから色々な人を見ておる。その経験から言うと、人生はイチゴのショートケーキと同じじゃ。」と好き神は意味深な事を僕らに告げ、僕らはお互いに「へー。」と言い、ケーキを食べたフォークを口に咥え、言葉には出さないものの腹...
お客様は神様です。

お客様は神様です。21

「神様は、なぜそのように食べているのですか?」と好き神の食べ方について聞いてみる。 すると「ふぉ、ふぉ、ふぉ。ワシの食べ方はイチゴのショートケーキを一番おいしく食べる方法とでも言うべきかな。もちろんワシにとって一番おいしい方法じゃ。」と少し...
お客様は神様です。

お客様は神様です。20

イチゴのショートケーキがやっと食べられる。いざフォークをイチゴにさしてまずはイチゴから食べるのが僕の食べ方だ。うん。甘酸っぱくて美味しく口が甘いものを欲しがる。そのタイミングで生クリームでコーティングされたフカフカのスポンジケーキをフォーク...
お客様は神様です。

お客様は神様です。19

テーブルの上に中くらいのきれいなイチゴが乗ったショートケーキが三つ並んでいる。僕はイチゴのショートケーキは好きだ。メロンでも構わないが、イチゴの方がザ・ケーキという感じがして見ているだけで少しぽっと表情が緩む。 それが三つも並んでいると、ま...
お客様は神様です。

お客様は神様です。18

サラリーマンにメニューを渡すと、メニューを真剣に見始めた。それまでの目つきとは違い、やはりイキイキとしているように感じられ、僕は少しだけうれしく感じた。 パラパラとメニューをめくり、最後の方のページにあるデザートのメニューを食い入るように見...
お客様は神様です。

お客様は神様です。17

「ふぉ、ふぉ、ふぉ。冴えないのには冴えない理由があるのじゃ。ところでおぬしはお腹は空いとらんのか?」と好き神はサラリーマンに聞いた。 「あ、はい。えーと、お腹ですか?空いているような、空いていないような・・・。」とサラリーマンがモジモジと言...
お客様は神様です。

お客様は神様です。16

恐怖のあまり声が出なかったが、早く何かしらのアクションをとらないともっと近づいてきて声をかけられても困る。僕はドキドキする心臓よりも早く「はい!」と返事をした。 サラリーマンは、ゆっくりとした口調で「あのう。隣の席に座ってもよろしいでしょう...
お客様は神様です。

お客様は神様です。15

「それは、好きでも嫌いでもないので普通という事になるのでしょうか?」と僕は言うと「そういうことじゃ。」と好き神の問いには正解し僕は少し安堵した。 「普通のものは特に印象に残らんのじゃ。好きな物と触れている時は心が動いとる。だから感動というん...
お客様は神様です。

お客様は神様です。14

どうやら目の前の神様は好きな物を司る神らしい。それは本人も言っていたし、僕の好きな物の記憶だけを戻す事が出来た事で証明された気がする。 しかし、どうも頭がすっきりしない。それは自分の名前や人の事が僕の記憶に無いことで、それは神様にも伝えてい...